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2009.9.9
「胃癌の内視鏡外科手術」
大阪医科大学外科学講座主任教授
谷川 允彦氏
王貞治監督は内視鏡によって胃の全摘手術を受け注目されました。世界のがんの報告によると、胃がんの患者数は4位。定評のある大阪府の調査によると、男性のがん患者の1位が胃がんです。黒澤明監督の「生きる」の時代、胃がんは20%しか助かりませんでしたが、今では進行したもの、早期を含め約半分が手術によって治るようになりました。
内視鏡手術が登場したのは1991年。めざましい技術の進歩によって手術件数は急増しています。腹腔下内視鏡手術はへそからカメラを入れます。腹部に5㍉の傷を3カ所あけ、ポートという管を挿入して鉗子を入れます。もう1カ所12㍉の傷からガーゼ、メスなどを入れて手術をします。痛みも少なく、患者は手術翌日から廊下を歩いています。患部は超音波の振動メスで切るため、王監督の手術の際にも50~60ccの出血しかなかったそうです。
次へのステップとして、インターネット教育とロボット手術があります。手術ロボットを使って、術者の両手だけで手術をする時代がもうそこまで来ています。
手術ロボットによる大西洋横断手術が初めて行われたのは2001年9月でした。フランスのストラスブールにいる患者の胆嚢を、米国のニューヨークにいる医師が、ロボットを使って摘除したのです。大西洋単独飛行にちなんで“リンドバーグ手術”と命名されました。
最新の手術方法は単孔式腹腔手術です。これはへそからの孔だけで手術するのです。私どもは10例近く手がけています。日本の内視鏡技術は世界に先行しており、全然傷のない形で手術ができる時代が来ているのです。
米国のチャールズ・メーヨは「医学がめざましい進歩を遂げている今の時代に生きていることは何と幸福だろう。でも待てよ。自分たちの父も30数年前に同じことを言っていたのだ」と言っています。
医学は常に過渡期にあります。かつて大きく切っていた乳がんも今は主に温存治療の流れです。
若い医師に対し次の外科学をどうリードしていくか。この11月には、「求められ応えられる外科医を目指して」というテーマで、日本臨床外科学会総会が京都で開かれます。野村克也監督の講演も予定していますので、関心のある方はどうぞおでかけください。
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