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2010.1.13
「京の食文化」
静岡文化芸術大学学長・
(財)林原美術館館長
熊倉 功夫氏
茶の湯は、美術工芸・庭園・宗教・・・と様々なジャンルにまたがりますが、料理といえば、懐石料理が中心です。日本の食文化は、懐石料理であり、京の食文化=日本の食文化といえます。昨年、ミシュランガイドの発表があり、京料理に、その後、何か変化が生じたかといえば、特に目だってはありませんが、世界の大きな波が押し寄せているのも事実であります。
日本料理とは何か、について説明したものはありません。ご飯・味噌汁・ライスカレー・すき焼・・・どこで線を引くか、沖縄料理、アイヌ料理はどうか、頭を巡らすと日本の食文化の概念はあいまいというのが現状です。
1997年、マクガバンレポート「アメリカ人の食文化・米国の食事目標」(アメリカ上院)が発表されました。この中では日本の食文化には触れていませんが、食事の改善方向を示し、その実現に向けた行動をとるよう提言を行っています。この時の目標値が、丁度、1980年の日本人が摂取していた蛋白質・炭水化物・脂肪の比率と近似していました。
日本人は、古代から栄養失調気味でしたが、ようやく1955年頃から、栄養が満足に摂取できるようになりました。1汁3菜が最適な栄養バランスに合致していたのであります。しかし、1980年頃以降から、この理想的な日本の食文化が崩壊しつつあります。家族が共に食事をしない、家で料理をしない、1人1人で楽しむのみ、ちょっと熱を加えるだけ、おせち料理をほとんど作らなくなった、おせち料理を作る時間をスキーにあてたい、それぞれ好きな物を食べればよい、ファミリーレストランで別々に注文すればよい、等々が現実に進行中であり、これは家族社会の問題でもあります。
「食育」、すなわち食事を通じての実践教育、食文化の向上をめざして、今、私たちのグループは、文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省等を交えながら「日本の食文化とは何か」を研究しており、2年がかりでテキストを作成中であります。しかし、行政各部門の取り組みがバラバラで、一本化できればもっと効果があるはずです。
今のお母さん達に教えるより、今の子供達に教える方が、いいかもしれません。料理の調理法、素材、栄養、コミュニケーション(もてなし)、この4要素、1汁3菜の原点を示したい。なんといっても、家庭の食が大事です。今後、どう伝えていくか、これが課題であります。
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