2022.6.15

「ロシアによるウクライナ侵略と国際社会から求められる対応」
国際政治学者(ウクライナ出身)
グレンコ・アンドリー 氏

ロシアのウクライナ侵略を止めるために、国際社会はいかに対応すべきか。

その問題を考えるためには、まずロシアやプーチン大統領の「行動原理」を知る必要がある。「ウクライナは昔からロシアの領土であり、取り戻すための戦いだ」「ウクライナ人とロシア人はもともと同じ民族だから、一国に戻るのが自然だ」という、彼らなりの信念が奥深くにあることに気づく。その大義のためには人命を軽視し、いかなる犠牲も払う。間違った信念に取りつかれているので、話し合いや政治的妥結によって、この戦争の終結を目指すことは難しい。つまり軍事力によってロシアの侵略を止めるしか無い、という残念な結論に陥っているのが現状だと思う。

そこで、国際社会にいま求められる現実的対応として考えだされたのが、ウクライナへの様々な支援だ。すべて大事だが、最も大事なのは武器だ。十分な武器を備えたウクライナ軍がロシア軍を撃退する。それしか戦争をとりあえず止める手段はない、とみられているのだ。

国際社会に求められる対応のもう一つは、ロシアに対する制裁だ。特に石油・天然ガスによる収入減はロシアの戦争継続能力に打撃を与える。制裁する側も痛みを伴うが、それでもロシアの天然資源を買わない、という制裁は重要になる。

ロシアのウクライナ侵略は、国際秩序に対する挑戦なのだから、ロシアが勝てば、独裁軍事大国が他国の領土を軍事力で奪ってもいい、という悪しき前例をつくってしまう。国際秩序は崩壊する。だから、国際社会の支援によってウクライナが勝ち、独裁大国の野望を封じる必要があるのだ。

日本は、どう考えるべきか。独裁軍事大国の隣にある国々は、国防力の強化に、最大限の努力を惜しんではならない。独裁国家に「侵略が可能だ」と思わせてはいけない。融和政策ではなく、自由民主主義の諸国が十分な軍事力を保つことによって、独裁大国の動きを抑える。それを第一に考える必要がある。NATOのような集団防衛体制も必要だ。

何よりも大切なことは、私たち一人ひとりが、世界情勢に対して当事者意識をもち、安全保障について真剣に考えることだ。その当事者意識が世論を形成し、国や国際社会を動かして行く。

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