2024.5.8

「事業承継の現状と意義について~事例を中心として~」
京都府事業承継・引継ぎ支援センター
統括責任者
宮嶋 渉 氏

事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継を支援するために、国(経済産業省)が設けた無料相談窓口だ。全国48カ所にあり、京都市にある当センターは、京都府内の企業を対象に事業承継のお手伝いをしている。

全国の中小企業者数は、2012年に385万者だったが、2021年には336万者に減った(※個人事業を含むため「者」と表記)。毎年、約5万者が廃業している。倒産よりも廃業が圧倒的に多い。しかも黒字なのに廃業する事業者が約6割を占める。廃業理由の約3割は、後継者の不在だ。

私たちがお手伝いする事業承継には、3つのタイプがある。「親族内承継」「従業員承継」「M&A(社外への引継ぎ)」だ。いずれの場合にも、次の5つのステップに沿って進めていく。
・ステップ1/譲る「覚悟」を決める。
・ステップ2/ヒト、資産、知的資産など経営資産、自社の強み・弱みなどの「現状把握」。
・ステップ3/「経営改善」を進める。
・ステップ4/事業承継計画・マッチングの実施。
・ステップ5/事業承継・M&Aの実行。

ステップ1~3で準備を整えて、ステップ4・5は 当センターにお任せいただくイメージだ。

私が担当した支援には、①法人の規模を縮小して親族が継ぎ、メイン事業のみを従業員が独立して承継した「従業員承継」、②倒産必至の企業が中小企業活性化協議会・弁護士と連携し、事業と従業員が社外の第三者に引き継がれた事例などがあった。相談者の個々の状況に合わせて、経験豊富なスタッフが対応している。

当センターが支援した事業承継の成約(完了)は昨年度、親族内継承が21件、第三者への承継が39件だった。まだ成約の件数は少ない。

そこで私たちは「掘り起こし支援」にも力を入れている。金融機関や商工会議所と連携し、事業者の皆様に事業承継への気づきを促していく。それをきっかけに当センターをご紹介いただくケースも増えている。

事業承継でお困りの時には、当センターをぜひご活用いただきたい。加えて、後継者不在の事業を承継する受け皿企業としての登録もお願いできればありがたい。うまくマッチングできれば、皆様の企業にとってもきっとプラスになると考えている。

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