2011.3.9
「古美術・骨董 入門の入門の入門」
古美術 花伝堂(カデンドウ)主人
NHK京都文化センター講師
中山 健二 氏
骨董・古美術のお話をさせていただくには、30分ではとうてい足りませんが、今日は、昼食後ということもあり、気軽にお聞きいただけるようなお話をさせていただこうと思います。
あまり耳慣れない言葉かもしれませんが、よく「強盗、窃盗、骨董」などと言われます。つまり、骨董といえば、強盗や窃盗のように身代にとって非常に悪いものという意味で言われているようです。しかし、江戸時代ころから、旦那衆と言われる方々は、それなりの骨董趣味を持っており、たいへんな愛好家もおられました。千種屋さんというお店は、身代が傾きかけたときに、収集していた骨董を売却して持ち直したという話がありますし、淀屋橋を建設した淀屋さんもたいへんな愛好家であったようです。現代にも、多くの愛好家がおられ、その愛好心が高じて美術館を建設されたりしております。中には、何十億円を投じて購入した絵画を自分の棺桶に入れてほしいと言っていた方もあったようです。
骨董・古美術の愛好家というのは、ロマンチストであると思います。つまり、歴史とロマンに対する興味が骨董・古美術の素養を高めるのだと思います。例えば、ドラえもんの「どこでもドア」があれば、どこへ行きたいですか?と聞かれて、答えにつまるようでは、ロマンチストとは言えません。桃山時代へ行って、秀吉と醍醐の花見をしたいなどと言ってもらいたいものです。私は、大化の改新の時代に行って、蘇我蝦夷が持っていたという「国史」という本を持って帰りたいと思っています。この本は、古事記や日本書紀の基になった本と言われているのですが、大化の改新の時に蝦夷邸と一緒に焼失したと言われているのです。
日本書紀と言えば、いろいろな地名の由来が書かれています。中には、当地の人が聞いたら気を悪くするようなものもありますが、それはそれで興味深いものです。
骨董・古美術をご覧になるときは、その時代について、中国史や朝鮮史との関わりも含めて、いろいろとお調べになって、その骨董・古美術品がどのような時代背景で生まれてきたのかを知り、また、それをもとに色々と空想を巡らせていただければ、たいへん楽しい趣味となると思います。
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