2012.12.12
「12・16師走決選と政治の行方」
共同通信社大阪支社次長(元政治部長)
橋詰 邦弘 氏
各メディアの調査によると、この師走決戦で自民党が単独過半数を獲得する勢いを見せています。2005年、09年の衆議院選挙では、猛烈な風が吹き、前者は自民党、後者は民主党が歴史的な勝利を収めました。ところが、今回はこの3年間の民主党政権の体たらくに対する逆風はあっても、自民党にそんなに追い風が吹いているのでしょうか。それでもこのような情勢となっているのは、得票率の差が何倍にもなって議席数にはね返るという小選挙区制度の怖さです。自民党が優位な戦いを進めている要因は、民主党政権への失望と同時に、「民主党は駄目、だからと言って自民党にも戻りたくない」という人たちの受け皿、つまり第三極勢力が日本維新の会、日本未来の党、みんなの党に分かれ、票が分散してしまうからです。
注目された日本維新の会は、期待値を上げてしまった分、失速感も漂います。橋下徹大阪市長が石原慎太郎前東京都知事や「たちあがれ日本」のベテランと組んだことにより、政策もあ いまいになり、切れ味、鮮度が落ちてしまいました。ただ、橋下さんは来年夏の参議院選挙とセットで考えているはずです。今回は石原カードで国政に一定の足場を築き、参院選では自らの出馬も念頭に、一気にキャスティングボートを握ろう、と狙っている気がします。
自民党の安倍晋三総裁、石破茂幹事長、そして石原さんや橋下さん…と保守、右寄りの政治家ばかりが目立つ中で、日本未来の党を結成した嘉田由紀子滋賀県知事は、中道・リベラルの「顔」として、面白い存在でした。しかし、やはり小沢一郎さんが後ろに控えていることへの評価が割れ、党内のゴタゴタも表面化し、苦しい戦いを強いられてしまいました。
これだけの多党化は、日本の政治がまだ踊り場にあることを証明しています。自民党が政権を奪還しても、国会のねじれは解消されません。各党とも夏の参議院選挙を勝負どころ、と位置付けており、そこに向け政界再編など政治がダイナミックに動くと思います。
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