2013.11.6
― 新会員スピーチ ―
「ラグビーから学んだ指導の心得」
(株)三菱東京UFJ銀行 執行役員 京都支社長
谷口 宗哉 君
私は大学在学中、ラグビー部に所属しておりました。私達は高校時代の全国大会経験者皆無のいわば雑草集団でしたが、大学4年の昭和59年度には大学選手権の決勝まで勝ち上がりました。この強さを支えたのは、他の競合大学のどこにも負けない猛烈な練習量で培った基礎技術力と精神力、そして、チームとしての強力な一体感で、当時「魂のラグビー」「奇跡のラグビー」とも評されました。
大学卒業後、縁あって母校のコーチを2度、通算6年務めました。最初にコーチに就任した昭和63年当時のラグビー部は低迷期にありました。私は自分が学生時代に体感した過去の成功体験こそ復活の鍵と認識し、指導にあたりましたが、学生達には受入れが難しかったようで、結果に結びつけることはできませんでした。その15年後、同期である監督の要請もあり2度目のコーチに就任しました。監督が私に求めたものは、学生時代に培った精神を今一度学生達に伝承させることでしたが、時代環境が大きく変わった中、その指導方法に大変悩み考えました。
そんな時、ヒューマンマネジメントという講義を受講する機会がありました。そこで教わったことは、環境変化が激しく価値観が多様化する現代では、誰にでも同じ方法で指導するとか、自分のやり方を押し付けるといった、一方的な「指示命令型のマネジメント」ではなく、「潜在能力を引き出すマネジメント」が大切であるというものでした。具体的には、相手の立場を尊重し、自発性を高めて、チームを活性化させ、優れた成果をあげさせる、いわゆる「メンター」を目指すというもので、必須とされる行動として「観察」「積極的傾聴」というキーワードが印象的でした。
私達は、この講義を参考に、学生達の自発性・自主性を重んじ、話しを聞き、じっくり行動観察をすることに徹しました。当初、学生達には不満や物足りなさを感じさせた部分があったと思いますが、除々に学生たちとの距離は縮んでいき、意見を求められるようになりました。特に、私達が学生だった頃の練習方法やチーム運営など、私達が伝えたい部分に入り込んできてくれ、次第に練習への取り組み姿勢が変化、試合にも成果として現れるようになりました。学生達は大きな進化を遂げていきました。
時代、世代は変遷しても伝え方や環境の創り方次第で、「不易」と考える根幹の部分を伝承できること、また、潜在的な力を引き出すことも可能であるという「指導の心得」を体感できた貴重な経験でした。
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