2016.11.2
― 新会員スピーチ ―
「俳人としての私」
(株)京都ホテル 代表取締役社長
福永 法弘 君
俳人は廃人とは違いますけれども、よく似た部分もあります。それは、俳句の俳の字は「人に非ず」と分解できることです。俳句がまだ俳諧として楽しまれていた昔、士農工商の身分を越えて遊ぼうと考えた人たちは、本名を名乗らず、俳号というもの考え出しました。すなわち、日ごろの自分から離れ、俳諧を楽しんだのです。
私の本業ですが、政府系金融機関の職員として33年、航空会社の副社長として4年、そして去年の春から、京都ホテルの社長になりました。そしてこのサラリーマン人生と平行して、俳人としても過ごしてきました。出版した本の数も、単独の著書で11冊、共著も角川書店の『大歳時記』をはじめとして数冊あります。本の内訳は、小説やエッセイの方が多いですが、俳句が私の文芸活動における本籍地です。
各地を転勤で異動する傍ら、俳句繋がりから多くの人のご縁を頂き、俳人として成長させて頂きました。多くの方にお世話になりましたが、有馬朗人先生(元文部大臣、元東大学長、「天為」主宰)に師事できた事は幸いでした。さまざまな方に、ちょうどよいタイミングで、新たなステージへお声がけをいただきました。一番は、俳句をはじめてまもなく、毎日新聞への「俳句とエッセイ」の連載でした。その後、札幌と鹿児島に転勤した際には、地元新聞社やテレビ局から仕事を頂き、東京ではNHK教育テレビの出演、東京商工会議所の会報への連載など活躍の場を頂きました。現在は、京都新聞に「季節のエッセイ」を連載中です。もちろん、俳句にうつつを抜かして本業をおろそかにしていると非難されないように、本業にもまじめに取り組みました。
お蔭様で、サラリーマン&俳人として、人生を二重に使うことができ、大変有意義な時間を過ごしております。京都での記憶に残る一句をものにし、社長を退任する際には、ホテルの一角に句碑を作りたい、と思っている次第です。
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