2022.12.14
「京都市立芸術大学のキャンパス移転―100年後も魅力的な大学をめざして―」
公立大学法人 京都市立芸術大学
理事長・学長 赤松 玉女 氏
本学の起源は1880(明治13)年、京都の絵描きさんたちの思いを集めて設立された「京都府画学校」にさかのぼる。明治の初期、東京奠都もあって、京都の人口は減り、まちは衰退した。京の都で長年、襖絵、京焼の絵付け、友禅の図案などを担ってきた絵描きたちの技術が散り散りになる恐れがあった。「若い絵描きを育成して才能を伸ばすと共に、日本独自の技術を後世に伝えねばならない。人材育成を通じて、京のまちを再び元気にしたい」と先人たちは考えた。
設立時の校舎に、京都御苑内にあった「御里(おさと)御殿」が使われたことからも、学校に対する京都の人たちの期待の大きさがうかがえる。
1969(昭和44)年には、京都市立音楽短期大学と統合して、京都市立芸術大学と名称を改めた。設立以来、何度かの移転を経て、1980(昭和55)年には西京区沓掛に移転。その間、多くの素晴らしい芸術家を輩出した。皆様よくご存知の上村淳之先生も、そのおひとりであることはご紹介するまでもない。
現在では、美術学部と音楽学部の2学部があり、それぞれに修士課程、博士課程を設けている。2000年には「日本伝統音楽研究センター」を、2014年には「芸術資源研究センター」を開設し、国内外の研究者と共に幅広い研究を進めていく体制を整えてきた。
来る2023年10月には、京都駅東側に建設中の新キャンパスへ移転する。京都芸大は、この移転を機に「テラスのような大学」をめざす。「テラス」とは、地域に開かれ多様な人々と交流できるオープンな場所を指す。地域の文化や歴史を踏まえつつ、多様な価値観を尊重し合う意識を、これまでにも増して大切にしていきたい。
さらには、大学で生まれる作品や演奏を公開し、皆様と共有することによって、芸術の視点から新たな価値観を提供できると考えている。市民の皆様だけでなく、京都を訪れる多くの人たちに、生まれたてのフレッシュな芸術に触れていただく「場」を提供することをめざしたい。
芸術大学というのは、機械類、楽器などの備品、設備が教室ごとに異なるため、新キャンパスの整備には膨大な資金が必要になる。現在、寄付を募っているので、趣旨をご理解いただき、お力添えをお願いします。
京都ロータリークラブ
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