例会プログラム

例会報告

―新会員スピーチ―「『ウマ』にまつわるエトセトラ~丙午に生まれて~」

2024年06月05日

スピーカー: ㈱電通 京都支社長/ 升田 陽子 君

私は丙午(ひのえうま)生まれです。丙午は「十干」×「十二支」の組み合わせの43番目。

丙午生まれの女性は気性が激しく夫を殺す、という迷信があります。当時の雑誌には、「60年に1度の危険」「丙午の赤ちゃんを産んだらたいへん」などという記事が出て、産み控えが広がりました。

1966年の出生数を見ると、なんと前年の25%、数にして50万人近くも減少したとのことです。

そもそも、どのように丙午の迷信は生まれたのかご存じでしょうか。

江戸時代に八百屋お七と呼ばれた娘がいた。お七の家は大火で焼け出され、避難先の寺でお七は寺小姓と恋に落ちる。店が建て直され二人は離れ離れに。お七は「また火事になればあの人に会えるはず」と自宅に放火した。お七は放火の罪で捕縛されて鈴ヶ森刑場で火あぶりにされた。

私の生まれ年から遡ること300年。お七が丙午生まれだった、ということが迷信の発端なのです。

八百屋お七の話は、井原西鶴の『好色五人女』という小説よって広く世に知られることになりました。さらに後年、浄瑠璃や歌舞伎などの芝居、浮世絵、文楽、日本舞踊、小説、落語や映画、演劇などさまざまな形で取り上げられていきました。

井原西鶴の小説を起点に、たったひとりの丙午生まれの女性の物語に尾ひれがついて、迷信が「拡散」したのです。丙午女性の後輩としては迷惑千万な話。まさに風評被害です。

さて『ウマ』といえば「馬」。古来「神馬」は神様の乗り物。勝負・成功・商売繁盛など縁起のいい動物です。

私の会社人生はバブル期に始まり、「馬車馬のように」働いて、辛いこともいろいろありましたが、「人間万事塞翁が馬」といわれるように、何が幸運につながるかわかりません。京都へ転勤になって、「瓢箪から駒」で京都ロータリークラブに入会することができました。丙午ですが、馬の縁起で今のところとても幸せな人生です。

2年後の2026年には丙午がやってきます。まだ丙午の迷信を聞いて、信じたり、出産を避けたいと思う人もいるようですが、迷信に負けず、丙午生まれの素敵な女の子の誕生を期待しています。

スピーカープロフィール

升田 陽子 君
㈱電通 京都支社長

兵庫県ご出身のお父様と大阪府ご出身のお母様が京都で出会われた京都生まれの京都育ち。お父様やお兄様、ご親戚のお勤め先が理系の研究職が多い中にあって、ご自身珍しいお勤め先でおられます。京都大学を経て、1988年に電通にご入社、昨年京都支社長に就任されました。ご趣味は和文化全般。もっと京都、伝統文化を知りたくなり京都芸術大学(旧:京都造形大)通信教育部「和の伝統文化コース」に3年次編入学、2021年3月に卒業されました。