例会プログラム

例会報告

「のどごしの良いはなし―耳鼻科医をうまく使っていただくために―」

2024年04月24日

スピーカー: 知音会 京都新町病院 副院長 兼 耳鼻咽喉科部長/ 小島 憲 氏

耳鼻咽喉科は、脳と眼を除く、首から上のすべての領域を診ている。耳鼻科といえば、花粉症や難聴を連想しがちだが、平均寿命がのびた昨今では高齢者などの嚥下(えんげ)の問題が注目を浴びている。

例えば「のどごし」という言葉は、ビールなど液体だけでなく、食べ物がのどを通過するときの心地よい感覚を指す。キレやコク、うま味、爽快感、あと味など、複雑繊細な感覚は、のどの運動に関係する。そうした要素を健全に保ち続けることによって、楽しい食生活を長く続けることができるのだ。

味がわからなくなる味覚障害は、加齢や歯周病に起因することが多い。変な味がする、痛むという症状の場合もある。最近は、体内の亜鉛不足による舌や味蕾の炎症が引き起こす味覚障害も注目されている。味がおかしいと感じたら、まず耳鼻科を受診してほしい。大きな病気が見つからなければ、亜鉛不足を疑って血液検査をする。亜鉛を補うには、サプリメントもあるが、亜鉛を多く含む魚介類、肉、藻類、ナッツなどを美味しく食べて摂取する方法を私はお勧めしている。

食べ物の風味には、嗅覚も重要だ。嗅覚の障害は、交通事故などで頭を強く打ったときの後遺症や、脳の腫瘍、蓄膿症などによって起こる。においがわからない時も、重大な病気がないことを確かめるのが先決なので、できるだけ早く受診してほしい。

食べ物や唾液が気道へ入ってしまう誤嚥は、肺炎や窒息につながる。加齢、脳卒中、認知症、歯の状態の不良、口の中の乾燥などによって、誤嚥のリスクは高まる。

予防するために、食事はゆっくりとよく噛んでのみこむことが大切だ。食後は口をゆすぐなどして、口の中を清潔に保つこと。椅子は足の裏が床に着く高さにして、背筋を伸ばして座り、あごを軽く引くと誤嚥は起こりにくい。

「のみこみ」に関係する筋肉を鍛える「嚥下おでこ体操」や、首や肩のストレッチも「のみこみ」をスムーズにするために有効だ。自分の体力に合わせて予防を心がけ、憂いなく食事を楽しんでいただきたい。

スピーカープロフィール

小島 憲 氏
知音会 京都新町病院 副院長 兼 耳鼻咽喉科部長

名古屋市でお生まれになり、中・高・大学と名古屋育ちで、大学をご卒業後、愛知県内の中核病院で研修され、耳鼻咽喉科専門医資格を取得。その後、研究目的で京都に来られ大学院・留学・研究員を経て、平成20年から京都逓信病院(現 新町病院)に赴任され、令和5年より現職に就かれました。