例会プログラム

例会報告

「トランプ劇場と高市劇場」

2026年04月22日

スピーカー: 同志社大学法学部 教授、元同志社大学 学長/ 村田 晃嗣 氏

私は、米国を正当化しない。ベネズエラやイランでやっていることは国際法違反だと思う。

今回鮮明になったのは、超大国といえども、イラン程度の国力があり距離が離れていれば、簡単には屈服させられないということ。ドローンの普及により、戦争は弱いものに有利、そして安上がりに守れるようになった。イランがその気になれば、今後もドローンと機雷でホルムズ海峡をいつでも封鎖できる。

11月の米国中間選挙でトランプ大統領の共和党が敗れる可能性が高まってきた。野党民主党が下院を奪えば、三つのことが起きる。1点目は、トランプ大統領の弾劾。2点目は法律が通らない。3点目は予算が通らない。法律が通らなくても大統領令で対応できるが、予算は何ともできない。これが一番重要。レームダック化して米国国内は混乱するだろう。

次期大統領選では、大きな世代交代が起こる可能性がある。アイゼンハワーからケネディで27歳、ブッシュからクリントンで22歳、それぞれ若返った。そんな世代交代リスクにどう対応するのか。高市総理は次世代のリーダーを育てられるのか突きつけられている。

高市総理は、初の女性総理で、非世襲、そして東京の大学出身ではない。その極めて自民党的でない彼女を、最も自民党的な麻生太郎氏が担ぎ、自民党を救ったという政治的パラドックスが起きている。

高市総理は武器海外移転など安全保障を変えることを試みている。憲法改正が視野に入ってきた。一番大事なことは、憲法の前文をどうするかだ。この前文は、明らかに国連が機能するという前提。つまり日本は国連の下で平和を維持しようと決意している。しかし、国連は戦後すぐ機能しなくなり、日本は実質的にはUN(国連)ではなくUS(米国)に守られてきた。ところが、USがどこまで世界秩序を守るのか怪しくなってきた。このUSとUNがともに機能不全に陥った今、憲法前文をどのように書き直すべきなのか。我々は世界をどのように変え、どのような覚悟があるのか。自衛隊明記など小手先の改正では、この大きな世界の変化に対応することはできない。

スピーカープロフィール

村田 晃嗣 氏
同志社大学法学部 教授、元同志社大学 学長

同志社大学法学部ご卒業の後、ジョージ・ワシントン大学政治学修士課程、神戸大学博士(政治学)課程を修了されました。
2013-16年 同志社大学学長にご就任、その後 2019-20年 防衛省参与、2018-25年 日本放送協会(NHK)経営委員をお務めです。
専攻はアメリカ外交で、『大統領たちの50年史』(新潮選書)など多数のご著書をお持ちです。