例会プログラム

例会報告

「すべてのこどもにこども時間を」

2026年02月25日

スピーカー: 認定NPO法人 日本クリニクラウン協会 事務局長/ 熊谷 恵利子氏

クリニクラウン(臨床道化師)とは、clinicとclownsとを組み合わせた言葉だ。オランダの小児医療機関での赤い鼻をトレードマークにしたクリニクラウンの実践が紹介されたことをきっかけに、日本でも入院中の子どもたちに本来の生きる力を取り戻して笑顔になれる環境を作ろうと活動を開始し、これまで89病院3000回を超える訪問を行った。

当初のスローガンは「入院中のこどもたちに笑顔を」だった。「すべてのこどもにこども時間を」に変わったのは現場での学びにある。人間は本当にしんどいときには笑顔になれない。笑顔になるにはパワーがいる。心の中はすごく動いていても表情を変えられない子どももいるが、感じていないわけではない。表面はニコニコしていても、大人が子どもの笑顔を喜ぶことを知っていて、がんばって笑顔を作っている子どももいる。

病院にはたくさんの制限がある。子どもらしくいることがとても難しい。わくわく、どきどき、その子にその子らしく過ごせる子ども時間を過ごしてほしい、そういう願いを込めて「すべてのこどもにこども時間を」とした。

コロナ禍で病院の子どもたちから遊びと学びの場が失われた。私たちの活動もストップしたが、オンラインでの訪問を開始した。できるかできないではなく、どうやったらできるか考えることが大事。脳性まひで反応することができない子どもにも語りかけていくと、鼻の穴が膨らんだり足の指が動いたりする。遊べるか遊べないかではなくて、どうしたら遊べるか、どうやってサポートしたら遊べるかと考えることが大事だと教わった。

そのころめいちゃんという5歳の女の子からもらった手紙には大きな力をもらった。似顔絵の裏側にはありがとうと書かれていた。手紙には家族ですら会うことが難しい中で旅立ったことが添えられていた。自分にできることは何かを考えること、思いを伝えるということの大切さを教えられた。

活動は20年を迎えるが公的な援助はない。こういう活動が必要だという人たちが活動をはじめ支援してくださる人がいて成り立っている。長期入院の子どもや再発の子どもたちにも定期的に訪問を行っている。子どもたちの生き生きとした笑顔を見て家族も、医療機関の人たちも元気をもらっている。

スピーカープロフィール

熊谷 恵利子氏
認定NPO法人 日本クリニクラウン協会 事務局長/クリニクラウン

1975年生まれ、甲南女子大学文学部人間関係学科をご卒業。在学中にノンバーバルコミュニケーションに関心を持ち、パントマイムの世界へ。パントマイム劇団員として活動する中、日本で初めて養成された認定クリニクラウン(2006年第1期生)として、全国の小児医療施設へ定期訪問を行っておられます。2009年度より事務局スタッフを兼務され、クリニクラウン東北支援事業の立ち上げや、啓発事業にも取り組まれており、2019年に事務局長に就任されました。

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