
「ロンジェビティ」とは健康長寿を意味する言葉で、最近、流行ってきている。心身ともに若々しく活動できる期間を延ばし、質の高い人生を長く楽しむという概念と言える。
「俺は120歳まで生きる」と、シリコンバレーの大富豪たち、例えば、米AI 企業「OpenAI」の共同創業者サム・アルトマン、「Spotify」の共同創業者ダニエル・エクらは、本気で言っている。
「Amazon.com」の創業者ジェフ・ペソスらが多額投資することで、最先端の科学技術によって「老化」を防ぎ、健康寿命を延ばす「長寿テック」は盛んになってきた。「認知機能」「免疫機能」「筋肉」の分野で10歳以上若返らせる治療法に賞金150 億円を出すコンペもある。全米医学アカデミーは賞金2.3億円の公的コンペを開催。科学を賞金で加速させようという試みで、世界の潮流になっている。
長寿テックが取り組むのは①iPS細胞を使った細胞リプログラミング②代謝・ミトコンドリア機能改善③老化細胞除去療法―。でも、これらをやってみようとは、なかなかならない。
生活習慣へのアプローチは、「食事」「運動」「睡眠」。この三つの柱のうち、「睡眠」に注目すると、睡眠時間は大切だが、睡眠の時間より、リズムこそが、寿命にインパクトがある。ヒトは全身の細胞に体内時計があり、地球の自転に伴うサイクルに同期・同調させることで様々な機能を整えている。そういう仕組みが、健康の源になっている。
ピーター・ディアマンディスはベストセラー「LONGEVITY GUIDEBOOK」で、決まった時間に寝る、就寝30分前にクールダウンする、正午以降はカフェイン禁止…などという。全てタイミングの提案である。頑張って寝ることはできず、よい睡眠を身体全体に持っていくことが健康寿命に大切なのだ。
良質な睡眠のこつは、体内時計をうまく利用すること。「深部体温」をコントロールする。夜、体温が上がり、下がってくるときに自然な眠りがやってくる。お風呂に寝る2時間前に入り、身体の芯まで温める。そのあと自分はビールですが、冷たいものを飲むと、体温が下がる。そうすると、自然に眠気が来る。今日からできますよ。
スピーカープロフィール

八木田 和弘 氏
京都府立医科大学 副学長・教授(統合生理学)
1995年 京都府立医科大学をご卒業。第三内科での研修後、京都府立医科大学大学院医学研究科博士課程入学。2000年博士(医学)、神戸大学医学部助手、名古屋大学理学部COE助教授、大阪大学医学系研究科准教授を経て、2010年より現職、2018年より生涯健康医学講座教授を兼任され、2023年より副学長(研究・未来人材育成担当)を兼務され、現在に至られます。ご専門は環境生理学で、健康医学と未病制御の実現を目指しておられます。