自衛官として14年間、東日本大震災など数々の災害派遣に従事した。自衛官として最後の勤務地は京都だった。昨年10月から、地域おこし協力隊の隊員になり広島で活動を始めた。「防災」を地域おこしのテーマと位置づけて、お年寄りや子どもにわかりやすいハザードマップ作りなどに取り組んでいる。防災に関して全国のロールモデルになるような「何か」を模索中だ。
自衛官は危機管理能力が高いと私は思う。災害に対応するノウハウを身につけているし、災害現場の凄惨さを知っていて「家族を守るために何ができるか」を常に考えているからだ。自衛官は災害時に現場に派遣され、家族のそばにいられない。だから、自分がいないと想定して備える。これも危機管理能力が高いからだと思う。
今年の元旦に能登半島地震が発生した。この地震を教訓として京都でどう備えればよいのか。
まずは「地震は忘れた頃にやってくる」と改めて肝に銘じることが大事だ。南海トラフ地震もいつ起こるかわからない。さらに、SNSについての教訓があった。SNSは助けを求める時に役立つ。だが今回は迷惑投稿が話題になった。「息子が挟まって動けません」という投稿に警察まで動いたが、事実ではなかった。SNSにはニセの情報があることも念頭に置く必要がある。偽りの情報に惑わされないためには、地域のコミュニティでフェース・トゥー・フェースのつながりを強化するのも大事だと感じた。
防災の知識を100持つ人が1人いるより、10の知識の人が100人いるほうが、地域の防災力も上がる。危機管理能力を上げるには、日々の生活の中で視点を少し変えるだけでよい。
具体的な災害への備えには、①浴槽の水を捨てない②宿泊施設や商業施設では非常口を一番に確認③車のガソリンは半分を切ったら給油④新聞紙をためておく⑤ハザードマップの確認(家と避難所どちらが安全か)などがある。
地震の時、家族に怪我をさせないためには、①就寝時、胸より高い位置に重い物を置かない②家具を固定する。または出入口をふさぐ家具がないか配置を見直す③枕元に靴かスリッパを常備する、といった備えが大切だ。
小さなことから少しずつ、まず自分と家族を守るための備えを今日から始めていただきたい。
スピーカープロフィール

生野 佑二 氏
元自衛官防災士
約14年間、陸上自衛隊幹部自衛官として勤務され、東日本大震災をはじめ数々の災害派遣に従事して来られました。防衛省を退職後は防災士資格を取得し、元自衛官防災士として地域防災に取り組み、全国に普及出来る防災ロールモデルの構築及び防災に対する普及活動を地域おこし協力隊員として実践されています。連携パートナーとしては、広島大学 防災減災研究センター 福田直三氏、大阪公立大学 都市科学・防災研究センター 信藤博之氏、サイバーセキュリティ専門家 長田元気氏など、様々な方や企業から支援を受け活動しておられます。