例会プログラム

例会報告

「新人アナ育成から考える新入社員教育論」

2024年05月22日

スピーカー: フリーアナウンサー/ 森 たけし 氏

私は1983年に読売テレビに入社した。45歳くらいでアナウンス部の副部長に、その後、アナウンス部長に就いた。現場でアナウンサーの仕事を続けながら、管理職として新入社員の教育に携わった。

アナウンサーとして入社した新人は、まず1カ月間、社内の各部署を回って会社の概要を学ぶ。5月にアナウンス部に配属され、約3カ月の基礎トレーニングを経て8月頃に、短いニュースでオンエア・デビューする。基礎トレーニングは発声、滑舌の練習から始まる。次に原稿読みの練習に移り、『NHK日本語発音アクセント辞典』の内容を頭に叩き込む。テーマと制限時間を決めてしゃべるフリートークや、インタビューの訓練もする。テレビ用のメイクも自分でできるように練習しなければならない。

成長をサポートする研修は用意されてはいるが、アナウンサーとしての能力をいかに高めるかは本人の努力次第だろう。入社の段階で「アナウンサーになれる」と感激にひたってしまうタイプは意外に伸びない。

伸び悩む新人もみてきた経験から、採用試験で資質を見極めることの重要性も痛感してきた。アナウンサーには特に、努力を惜しまない資質だけでなく、マイクの前に独りで立って踏ん張る力、失敗しても苦境を乗り越える強さが必要だ。

新人教育においては上司も試される。アナウンサーの場合には、報道、スポーツ、バラエティなど、どの分野に向いているかを、見極めることが問われる。アナウンサーとしての基礎的な技術は大事だが、それだけでは通用しない。新入社員を育てていくうえで大切なことは、各人が自分の特性と個性を活かしていけるように配慮し、サポートすることだと思う。現場スタッフとのトラブルが発生した時に、両者の言い分をしっかりと聞いて、解決の道筋を探るといったフォローも、上司としての大事な役割だと考えてきた。 私は60歳で定年退職し、現在はフリーアナウンサーとして仕事をしている。読売テレビで番組開始時から関わった「す・またん!」(朝の情報番組)には、フリーになった今も月2回、出演している。挑戦したいと願っていたラジオやCMの仕事もいただいて、おかげさまで楽しく忙しい毎日を送っている。

スピーカープロフィール

森 たけし 氏
フリーアナウンサー

1959年東京都にお生まれになり、青山学院大学経済学部ご卒業後、読売テレビにご入社され、「ズームイン朝」「2時のワイドショー」「大阪ほんわかテレビ」などを担当されました。ご存じ、読売テレビの朝の顔として長年親しまれてこられた「森ちゃん」こと森たけしアナウンサー。熱烈な阪神タイガースファンとしても有名です。読売テレビを定年後はフリーアナウンサーとして多方面でご活躍中。