例会プログラム

例会報告

「映画から広がることそれは太秦から始まった」

2025年01月15日

スピーカー: 映画監督/ 三島 有紀子 氏

映画製作は困難を極める。撮影には多くの許可をクリアし、幾つかの奇跡を得てようやく成就する。映画制作の意義は、良きものを記録し残していくことにある。

その制作は、現代社会の問題や人々の悩みを深く見つめることから始まる。

テーマ設定として面白く楽しく作るための物語を考え、脚本の作成はシナリオハンティングを行うところから始まり、ロケハン、キャスティングと進む。

映画制作と映画館公開の過程は、予算に応じて無駄のないように、自分は撮影を1ヶ月程度、編集は3~4ヶ月かけて行う。公開には多くの奇跡が必要で、映画館の協力も不可欠で、映画が観客に届くことが最終的な目標だ。人間を探求し、理解することが映画監督の最も重要な仕事で、映画制作の哲学は人間の探求だ。

映画館での自身の初体験は、映画『赤い靴』で、自分の命を自ら放り出すという選択があることを知った。なぜ未来がある人間が命を絶たなければならないのか。今、自分は生きていることを選んでいると感じ、映画を観ることを通じて生きる希望を見出した。

最新作は、『一月の声に歓びを刻め』で、10本目の作品として自分の原点を見つめる作品を作りたいという思いから、自主映画として制作した。性被害に遭った女性が成長し、傷を抱えながらも前に向かって生きていく物語で、自分自身の実体験に基づいた作品だ。

今後の具体的な取り組みとしては、海外からの撮影の呼び込みと、地域の活性化と子どもたちの居場所作りを同時に進めたい。映画を通じた子どもたちの居場所作りを進めることを目指したい。

地域の映画館が、公共の支援を受け、かつての教会や寺子屋のように、誰もが立ち寄れる居場所、登校拒否や居場所・行き場のない子どもたちの救いの場となればと願っている。

スピーカープロフィール

三島 有紀子 氏
映画監督

大阪市出身。18歳からインディーズ映画を撮り始め、神戸女学院大学卒業後、NHKに入局。「NHKスペシャル」「トップランナー」など、ドキュメンタリー作品を企画・制作。11年間の在籍を経て独立。太秦の東映京都撮影所などで助監督をやりながら、脚本を書き続け、『刺青 匂ひ月のごとく』(2009)で映画監督デビュー。12年に映画『しあわせのパン』でオリジナル脚本・監督をつとめる。『幼な子われらに生まれ』(2017)は、モントリオール世界映画祭で審査員特別大賞。『Red』などを出品した24年のシアトル映画祭では最優秀監督賞を受賞。