例会プログラム

例会報告

【新会員スピーチ】「法隆寺との出会い」

2025年08月06日

スピーカー: 朝日新聞大阪本社  磯田 晴久 君

昨年6月に千玄室大宗匠、西村勝様のご紹介で、再入会いたしました、前回は2013~2016年に在籍し、2回目のスピーチとなります。今回は現在の私が所属する「寺社文化財みらいセンター」にかかわる話をします。この組織は、お寺や神社と一緒にシンポジウムやイベントをすることで、文化財の大切さを多くの方々に知ってもらうことを主眼に設立され、京都や奈良の神社仏閣を中心に活動をしています。その中で、本日は法隆寺を取り上げます。
壁画が焼けてしまいました。この火事がきっかけで翌年、文化財保護法が制定され、その後、1月26日は文化財防火デーになりました。
焼け残った壁画や柱は、境内の収蔵庫に保管されています。私はいま、この収蔵庫の公開に向けた仕事をしています。10年前から専門家会議が収蔵庫公開に向けての議論を始め、収蔵庫を改修すれば壁画の公開は可能、という提言が出ました。今は改修工事の設計作業に入っていますが、かなりの費用がかかります。弊社はこれを支援するため、今年1月に個人や企業に協力を呼びかける「法隆寺みらいプロジェクト」をスタートさせたところです。
火災から5年後、同じ場所に金堂が再建されましたが、壁画は白いままでした。昭和32年に弊社が法隆寺と協力して壁画再現事業に取り組み、大規模な寄付を募って、当時の日本画壇の精鋭に制作を依頼、壁画を再現して金堂に納めました。こんな経緯があって、金堂の焼損した壁画の件でも弊社がプロジェクトを立ち上げました。収蔵庫改修の資金集めのため、法隆寺では毎年、クラウドファンディングを企画し、収蔵庫の限定的な見学を返礼としていますが、今年も10月20日から11日間の予定で実施いたします。

焼けてしまった金堂壁画は文化財保護、文化財防災を訴えるシンボルとなる存在です。多くの方々に見てもらうことで、貴重な文化財を守っていく機運につなげたい、そんな思いでこのプロジェクトを始め、私もその一端を担っております。

スピーカープロフィール

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東京都生まれ、東京育ち。入社してからは社会部を中心に仕事をしてこられました。
神戸・高松等の地方勤務や、警察や行政・環境問題等、様々な分野をご担当されました。
入社以来のお引越しは15回となりますが、12年前からは京都にお住まいです。
京都総局長時代(2013~16年)に京都ロータリークラブに在籍され、2024年6月に再入会されました。
ご趣味は学生時代に山登り、今は町歩きや美術鑑賞がお好きです。

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